レコードを買い続けてしまう人のブログ。
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JOE CHAMBERS|THE ALMORAVID


探していたレコードをようやく入手したのだけれど、すぐに聴くのは何だかもったいない。せっかくだから時間がある時にゆっくり楽しもうではないか。と思いつつも、未聴のまま数ヶ月が経過してしまった可哀想なレコードが結構ある。

これはイカン。未聴盤を意識的に聴いていかなければ。と、ようやく思い立った。さて何から聴こうかと物色しているとジョー・チェンバース(ds)の『THE ALMORAVID』が目に留まった。いつか聴こうと暖めていたMUSE盤だ。

本作は1971年と1973年に行われたセッションから構成されている。1971年の演奏(A2+B2)はウディ・ショウ(tp)やハロルド・ヴィック(fl, ts)を迎えたセクステット編成。1973年のセッション(A1+A3+B1+B3)はマリンバやパーカッション類を全面に押し出したアフロ系の演奏。



A1「THE ALMORAVID」。まずはチェンバース(ds)作のタイトル曲。太鼓類が鳴り響く土着的なイントロに続き、マリンバ×ドラム×コンガが織り成す呪術的なテーマが出現。複数のリズム・パターンが絡み合い、黒々としたグルーヴが渦を巻くように乱れる。マリンバが奏でる幻想的な音色と共に、重厚感のあるポリリズムが波のように押し寄せてくる。マックス・ローチ(ds)が率いたパーカッション集団「ウン・ブーム」にも通じるアフロ・ジャズ。

A2「アーリー・マイナー」。神秘的な静寂に満ちた浮遊感のある演奏へと続く。作曲は奇才ジョー・ザヴィヌル(el-p)。ハロルド・ヴィック(fl)×ジョージ・ケイブルス(el-p)が彩る悲哀感漂うテーマがいかにも当時のザヴィヌル的。セシル・マクビー(b)の硬質で粘りのあるベースがゆらゆらと遊泳するような無重力感を醸し出す。チェンバース(ds)は寄り添うように鈍い音色のシンバルを響かせる。エレクトリック期のマイルスを彷彿させる雰囲気。

A3「ガゼル・スイート」。再びチェンバース(ds)のオリジナル。ドラム×パーカッションが並走するアンプテンポなイントロに続き、マリンバ×ピアノが織り成す軽やかな、しかしながらどことなく物悲しいテーマが出現。そのままソロパートへと突入するかと思いきや、テーマ後にリズムが一変。アタックの強いジャズ・ロック的なビートを織り交ぜつつ、チェンバース(ds)が演奏全体を豪快に盛り上げていく。飛び散るシンバル、鈍く響くシズル音、力強く弾けるスネア…彼のドラミングが際立つ演奏。

B1「カッタ」。作曲はアンドリュー・ヒル(p)。ボビー・ハッチャーソン(vib)のブルーノート盤『ダイアローグ』の冒頭を飾ったナンバーだ。ミディアムテンポで演奏されていたボビハチ版に対し、ここではかなり速めのアレンジ。テーマを彩るのはマリンバ×ピアノ。類似した二つの異なる音色が反復フレーズを繰り返し、何とも言えない独特な陶酔感を醸し出していく。鋭さを増したテーマ、押し寄せる緊迫感、背後で鳴り響くパーカッション…鬼気迫る演奏。本作のベストトラックだろう。

B2「メディナ」。シネマティックなイントロ、高揚感を煽る雄大なテーマ、前のめりなリズム、美しい三管アンサンブル…。B面の中核を成すのは70年代の香りに満ちた躍動感溢れるナンバー。作曲はチェンバース(ds)。高らかに歌い上げるウディ・ショウ(tp)、優美な音色で柔らかな光彩を放つケイブルス(el-p)、独特なリズム感で演奏を隆起させるマクビー(b)、リムショットを刻みつつスピード感を煽るチェンバース(ds)…各メンバーの個性が光る好演奏。

B3「ジハード」。ラストはマリンバ×ドラム×パーカッションが織り成す民族色の強いナンバー。作曲はチェンバース(ds)。A1やB1のような躍動感は陰を潜め、ややフリージャズ寄りの混沌とした演奏。木魚のような打楽器、単調なフレーズを繰り返すマリンバ、緊迫感を強調するドラム、重厚に響き渡るゴング…。色とりどりの打楽器が断片的に交わり合い、退廃的な情景が徐々に描き出されていく。現代音楽的アプローチ、実験音楽的要素をも感じる演奏。


予想以上に聴き応えのある作品だった。ささっと聴いて「あぁこんなもんか」と納得してしまうMUSE盤も少なくないが、本作のようにじっくり楽しめる好内容作品も隠れている。奥が深いレーベルだなと再確認。今後も引き続きMUSEレーベルを掘り下げていこうと思う。今夜は可哀想な未聴レコードを最低でも三枚は聴くぞ。そう心に決めたのだが、結局、一枚しか聴くことが出来なかった。夜がもっと長ければいいのに。


JOE CHAMBERS|THE ALMORAVID (YouTubeで試聴できます)

Joe Chambers(ds) Cedar Walton(p, el-p) Richard Davis(fender-b) Omar Clay, David Friedman(marimba, per) Ray Mantilla(cga, per)
*Joe Chambers(ds) Walter Booker(fender-b) Omar Clay, Doug Hawthorne(marimba, per) Ray Mantilla(cga, per)
**Joe Chambers(ds) Woody Shaw(tp) Harold Vick(fl, ts) Garnett Brown(tb) George Cables(el-p) Cecil McBee(b)
1973年10月8日,*1973年11月1日,**1971年2月10日録音

Side A
Almoravid
**Early Minor
*Gazelle Suite

Side B
Catta
**Medina
*Jihad

vinyl details
MUSE (MR5035)・STEREO・BELL SOUND