レコードを買い続けてしまう人のブログ。
<< 前の記事 | 2/13 | 次の記事 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

SUN RA AND HIS ARKESTRA|ON JUPITER


昨年の秋。馴染みの中古レコード店にふらっと立ち寄ったときのこと。いつも良くしてくださっている店員の方が「オン・ジュピター、入りましたよ。いりますか?」と声を掛けてくれた。サン・ラーの中でも特に探していたレコードだったので、嬉しくて思わずチビりそうになった(もしかしたら、若干チビっていたかもしれない)。迷わず「い、い、いりますっ!」と即答した。

ドキドキしながら待つこと数分。店員の方がレコードを片手に戻って来た。長年探していた『オン・ジュピター』がついに。状態はどうだろうか。キズは無いだろうか。どうか綺麗なコンディションで手元に来てくれ。緊張のあまりうっかり落下させてしまわないように、期待と不安に震える手で、慎重に、丁寧に、心を込めて、そっとレコードを受け取った。

私は愕然として言葉を失った。すぐさま目を背けたくなるような凄まじい盤面が目の前に出現したからだ。誰がどうやって扱ったら、こんな酷い状態のレコードに仕上がるんだろう。そう思わずにはいられないほど豪快にキズが入っている。縦横無尽に。遠慮なく。思いっきり。もしかしたら、ジャリ道でフリスビー代わりに投げて遊んだ痕跡なのかもしれない。購入しようか迷ったのだけれど、コンディションに準じた低価格だったので念のため確保した。



本作の録音は1979年。この時代のサン・ラーは、イタリアでのライヴ/スタジオ・レコーディングや映画監督ボブ・マッジによる映像作品『ジョイフル・ノイズ』への出演を筆頭に、精力的な音楽活動を行っている。後に彼の代表作と呼ばれる『ディスコ3000』『スリーピング・ビューティ』『ランクィディティ』『ニュー・ステップス』等を立て続けに吹き込んだのもこの頃だ。

これらの作品には、当時のサン・ラーの湧き出る制作意欲と型破りなオリジナリティがたっぷりと凝縮されている。なかでも同時代を象徴する楽曲が本作『オン・ジュピター』に収録されている前代未聞の変態ディスコ・ナンバーA2「U.F.O.」だろう。黒々としたファンキーなリズム、地を這う重厚なベースライン、豪快に唸りを上げるホーン部隊、荒々しく歪んだサン・ラーの歌声…。何度聴いてもぶっとぶ、壮絶な演奏だ。

手元に舞い降りたキズだらけの『オン・ジュピター』のラベルには、作品タイトルや曲名の表記が無い。白地のラベルに手書きのレコード番号・録音年月日が記されているだけだ。サン・ラー作品の大半をリリースした自身のサターン・レーベルは、ラベルやジャケットを手作業で製造していたとのこと。そのため正確な情報が少なく、謎も多い。テストプレスか何かだろうか。はたまたラベルの貼り忘れだろうか。ニヤニヤしながら想像を膨らませる。盛大なノイズの向こう側から届く、サン・ラーの音楽を浴びながら。

RIPPED FROM VINYL|SUN RA AND HIS ARKESTRA|U.F.O.


SUN RA AND HIS ARKESTRA|ON JUPITER
Recorded 10/16/1979
Sun Ra(p, org, key, vo) Eddie Gale, Michael Ray(tp) Marshall Allen(as, fl, ob) John Gilmore(ts) Julian Pressley(bs) Danny Ray Thompson(bs, fl) James Jacson(bsn, fl) Skeeter McFarland, Taylor Richardson(eg) Steve Clarke(eb) Richard Williams(b) Luqman Ali(ds) Atakatune(per) June Tyson and ensemble(vo)

SIDE A
On Jupiter
U.F.O.

SIDE B
Seductive Fantasy

VINYL DETAILS
EL SATURN (101679)・STEREO・WHITE LABEL・PLAIN SLEEVE