レコードを買い続けてしまう人のブログ。
<< 前の記事 | 1/7 | 次の記事 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

EARL & CARL GRUBBS - THE VISITORS|NEPTUNE


新宿での用事を済ませてさあ帰ろうと思ったのだけれどあまりの人込みに気分が滅入り、駅まであとわずかにも関わらず目の前にあった珈琲屋へ逃げるように飛び込んだ。のどの渇きを癒そうと普段は滅多に頼まないアイスコーヒーを注文。

冷たい飲み物を口に含みふと一息ついたところで、店内に小音量でジョン・コルトレーンの美しいバラードが流れていることに気がついた。そう言えば先日買ったMUSE盤にも「ナイーマ」が入っていたな。家に帰ったらゆっくり聴こう。そんなことを考えながら穏やかに漂うテナーサックスにしばらく耳を傾けた。

帰宅してレコード棚から取り出したのはザ・ヴィジターズの作品『ネプチューン』。アール(ss)&カール(as)のグラブス兄弟が率いた同グループはMUSE(及び前身のCOBBLESTONEレーベル)に4枚の作品を残している。本作がデビュー盤。録音は1971年。彼らの演奏からはコルトレーンの思想を70年代に継承しようとするかのような力強い精神性を垣間みることができる。

02.jpg

A1「ネプチューン」。本作の幕開けは中近東的な旋律が心に響くミディアムナンバー。作曲はカール(as)。たっぷりと響くベースライン、幻想的な音色で揺らめくエレピ、ほのかにリズムを刻むドラム、背後で乱れるアフロパーカッション…。荘厳な空気が漂うなか、アール(ss)×カール(as)の屈強なブロウが神秘的な空間を引き裂いてゆく。張りつめた緊迫感が漂う12分2秒。彼らの精神性は途切れることなく放出され続ける。

A2「ナイーマ」。巨匠ジョン・コルトレーン(ts)が残した最も美しい楽曲のひとつ。しっとりとしたバラードで演奏されるのかと思いきや、ここでは疾走感溢れるアップテンポなアレンジ。リムショットとタムを反復させるように躍動するドラムや乾いた音色で駆け抜けるコンガを背に、アール(ss)×カール(as)が魂の宿ったブロウでテーマを彩る。原曲の美しさがさらに際立つ華やかな演奏。本作のハイライトだ。

B1「リフレクションズ」。B面の4曲はすべてグラブス兄弟の楽曲。まずはアール(ss)×カール(as)が抽象的なテーマを奔放に奏でる混沌とした演奏。フリーブローイング的なイントロに続き、中盤から流麗なピアノが加わるやコルトレーンの「インプレッションズ」にも通じる荒々しい世界へと突入してゆく。但し、あっと言う間に終わってしまうのが残念。20分くらい演奏して欲しかった。

B2「チャイナ」。神秘的なオリエンタル感が心地よい疾走感溢れるナンバーへと展開。グラブス兄弟が描き出す雄大なテーマが印象的だ。各ソロパートも秀逸。東洋的な旋律を交えつつ滑らかなフレージングで吹き進めるアール(ss)、程よく抑制を効かせつつも内側から破裂するような音色でブロウするカール(as)、神秘的な楽曲をさらに際立たせるように優美な旋律を紡ぎ出すシモンズ(p)…。メンバーの個性が光る好演だ。

B3「ピーシーズ」。ほのかな哀愁を漂わせたリリカルなテーマが美しく響き渡るミディアムテンポの楽曲へと続く。ゆったりと流れる6/8拍子のリズムが何とも心地よい。アール(ss)×カール(as)の二管ユニゾンがゆらゆらと漂いながら奥行きのある優美な情景を描き出していく。粒立ちよく弾けるシンバルやクリスタルのように輝くピアノがさらにそれを際立たせる。彼らが醸し出す空気感は優しく、穏やかで、知性的。同演奏からは特にそう感じた。


ザ・ヴィジターズの演奏からはコルトレーンの思想を70年代に継承しようとするかのような力強い精神性を垣間みることができる。と前述したが、原文ライナーを眺めていてそれを裏付けるような賛辞が贈られていることに気がついた。コルトレーンと縁の深かった二名の人物が寄せた言葉を最後に転記してみよう。


Earl and Carl are quiet, brilliant, strong, and intelligent men of high morals who believe in what they are doing. Their religious devotion and awareness of God prevails throughout their music.
- Pharoah Sanders

One of the most outstanding characteristics of this work is the vibration of peace, love and beauty. Elevation is the key.
- Naima Coltrane


EARL & CARL GRUBBS - THE VISITORS|NEPTUNE (flwrpt.comで試聴できます)

Earl Grubbs(ss) Carl Grubbs(as) Ron Burton(el-p) Sid Simmons, Elmer Gibson(p) John Hicks, Edward Crockett(b) John Goldsmith, Bill Roy(ds) Robert Kenyatta(cga) Richard Lee Wiggins, Sherman Ferguson(per)
1971年5月5日,13日録音

Side A
Neptune
Naima

Side B
Reflections
China
Pisces
Pat's Tune

vinyl details
MUSE (MR5195)・STEREO・PREVIOUSLY RELEASED COBBLESTONE CST9010